エンド・オブ・ライフ
京都の訪問診療施設を著者が取材したノンフィクション作品。
終末期医療の現場で作者が見たこと感じたことをありのまま書いている。
訪問診療についての知識を得るには良い(が、かなり思い内容であるため読むのに覚悟が必要)。
業務に活かせる点
・訪問診療とは?がわかる
・訪問診療にかかわる医療職について
・緩和ケア医の希少さと重要性
・訪問診療施設と病院の連携
希望のステージ
担当患者の自殺を苦に大学を離れて実家病院へ戻った医師が、地元の文化ホールで開催されるステージの医療サポートを行う話。
エンタメ要素が強く、非現実的で業務に活かせる部分は少ない。
業務に活かせる点
・病病連携、病診連携の例
ヴァイタルサイン
看護師による筋弛緩剤点滴事件を題材にした作品。
看護師目線から見た医療現場が描かれている。
人員不足によりひっ迫する医療現場の現状や、医師との待遇格差など。
業務に活かせる点
・コメディカルと医師との関わり方
・医師の働き方
・院外活動の例
・慢性期病院について(患者層、疾患など)
ディアペイシェント
経営重視、医療はサービス、少しのミスも許されないーという環境に疲弊していく話。
事務方が強い病院で、患者には「様」をつけて丁寧に説明してあげること、かつ待たせないこと、当然ながら診断にミスがあってもいけない、診察後は都度、患者から評価をつけられ、評価が悪いと医局会でつるし上げにあう。
途中、医療ミスによる訴訟もおきて、医師としてだけでなく、人生そのものが壊れていく。
脚色はされているものの、上記の前半は当たり前のように思えて実際はかなり難易度が高く、診断・治療ができてさらに接遇もちゃんとしていて人当たりもよくてどんなときもミスしない、という完璧であることが求められる仕事。
仕事でミスをすると、患者も自分も人生が終わる。
改めて、大きなプレッシャーにさらされる仕事であり、それ以外の部分で不要なストレスを解消し、診療に集中できるような環境を紹介してあげる、この仕事はとても意味のあるものだなと思います。
定期的に読むことでモチベーションが維持できる系の話でした。
ブラックウェルにあこがれて
タイトルのブラックウェルは世界初の女性医師で、1800年代の女性が外で働くこと自体めずらしい時代に差別をはねのけて女性の医学校をつくった。
女性医師の差別問題に対する問題提起と、そのなかでも自分なりに生き抜いてやりがいを見つけていく女性医師たちの話。
女性差別について、自身がおかれている環境ではあまり考える機会がなかったが、医学部の不正入試問題は2018年の出来事であり、つい最近のことと言える。
本書内では、オペがまわってこないとか、大学内で出世コースに乗れない、家庭や介護との両立に悩む女性医師の姿が描かれている。
事件が明るみになってから改善された部分は多いだろうし、むしろ過敏になって差別と捉えられることのないよう振舞っているということもあるかもしれないが、それでも業界には差別意識が根強く残っているのだろうと感じさせられた。
これまで医師との面談時に、差別を受けているという直接的な訴えを聞いたことはないが、個々の事情に応じた働き方を許容していない医療機関が圧倒的に多いことを考えると、やはり実質的に女性医師のほうが働きにくい環境であることは間違いない。
当社にも、育児中・時短など難しい相談がよせられることも多いが、成約事例が増えることで女性医師の活躍の場が広がり、より女性が働きやすい世の中に貢献できるのもこの仕事が提供できる価値だと思いました。
いのちの停車場
救急医から地方の訪問診療へ転向する話。
訪問診療を題材にした小説はたくさんあるが、「医師とチームのおかげで患者と家族が在宅医療を受けながらこんなに素敵な想い出を作れました」という、実情とは少し異なる感動系の話が多い(気がする)なかで、これは患者と家族にどうやって死を受け入れてもらうか、看取りまで家族と伴走する様子が描かれている。
いざそのときを迎えた際に患者はどのような状態になり、家族はどのような対応が必要なのかを理解させ、備えられるよう説明する。
医療に一切お金をかけたくない生保の患者に服薬してもらうためにはどう説明したらよいかなど、急性期で訪問診療をあまりイメージできてない先生に、こういうものだよと伝えるのに役立つ。